英語学習には目標設定が大事っていうけど、そもそもどんな目標を立てたらいいのかわからない。英語が話せるようになりたいというだけではだめなの?
この記事を読めば、社会人の英語初心者の方がどんな目標を立てればよいかはっきりくっきりと分かります。
この記事を書いているHIDEOはこんな人。
- TOEIC935点 (リスニング満点)
- 海外居住歴無く国内で英語力をアップ
- 現在大手企業、海外事業部で現役勤務中
- 英語学習歴は大学在学中から18年
- オンライン英会話歴は15年
結論:SMARTの法則に沿って3ステップで目標設定する
どんな目標を立てたらよいか?まず結論は次の通りです。
ステップ1:TOEIC900点 (所要時間500時間)
ステップ2:ビジネス上困らない英語力(所要時間ステップ1に加えて1000時間)
ステップ3:生英語の完全な理解 (ステップ1,2に加えて10000時間)
理由:
それでは理由と考え方について説明していきたいと思います。
まず、具体的な目標設定に至る前提としての大切な考え方から。
目標は「SMART」の法則に従って設計すべき。
SMARTの法則とは
SMART法則とは、次の5点を満たす目標が達成されやすいというもの。
- Specific:「具体的である」
- Measurable:「計測可能できる」
- Agreed upon:「同意している」
- Realistic:「現実的である」
- Timely:「期限が明確である」
1981年にGeorge T. Doran博士が提唱した法則がもとになっています。
私自身が英語勉強を開始したときには知らなかった考え方です。
でも、今振り返ると私が18年間も英語学習をそれほど苦に感じずに継続できている理由を非常にうまく説明できる考え方だと感じています。
では、この考え方を英語学習に当てはめるとどうなるか。
Specific「具体的である」 & Measurable「計測可能できる」
「外国人と話せるようになる」「英語ができるようになる」といった目標ではSpecific「具体的」でもMeasurable「計測可能」でもありません。
ぼんやりしすぎていてどこにどのように向かっていけばいいかが分からないのです。
例えば「ニューヨークの子会社へ海外出張し、現在の仕事と今後の協力関係について英語でプレゼンし、質疑もうまく対応する。」など具体化する必要があります。
ここに数字を入れれば「計測可能」なものになります。
例えば「来年8月にニューヨークの子会社へ海外出張し、現在の仕事と今後の協力関係について英語のプレゼン(発表15分、質疑15分)を行う。」などです。
Agreed upon:「同意している」
自分が目標に納得しているということです。
つまり本当に英語力を高めたいと思っているか、という部分になります。
これは本当に重要なところで、英語を上達にはかなりの時間が必要なので、
「別に英語が無くても仕事で困らないし、将来英語を使って仕事をしたいとも思わない」
「英会話を趣味にしたいとも思わないし、映画の英語は字幕で十分」
といった感覚のままでは継続できなくなるのは目に見えています。
自分に問いかけたとき、心から英語力をアップさせ人生を変えたいという気持ちがあることが重要です。
一度しっかり考えてみておくことは重要だと思います。
Realistic「現実的である」
文字通り、現実的な目標であるということ。目標が高すぎるとモチベーションが維持できません。
例えば英語初心者の方がいきなり「字幕無しで映画を見れるようになりたい」という目標を立てたとましょう。
これは高すぎる目標です。
映画を使って勉強をするものの、知らない単語や知らない表現ばかり。全く何も聞き取れない。
少しずつ表現を覚えていったり、セリフをまねてみたりするものの、別のジャンルの映画になればまた振り出しにもどる。
こんなことになるのが目に見えています。。
映画の英語の完全理解というのは同時通訳者でさえも難しいと言われています。
何の達成感も得られず疲れ果てる日々が延々と続くことは明らか。こんな修行に耐えられる人はほとんどいないのです。
具体的かつ計測可能な目標をさらに小さな目標に細分化して、効果を実感し続けることでこそモチベーションが格段に維持し易くなるのです。
例えば「1か月以内にFRIENDS DVDの1本目の表現は全て覚えて、セリフもすらすらマネできるようになる」などです。
Timely「期限が明確である」
「そのうち英語ができるようになればよい。」では目標達成が難しいのは私含め皆さん経験済みではないでしょうか。
例えば、
学生時代のレポートを提出ギリギリにやっていたタイプの方。
会社のプレゼン資料は発表の数日前にようやく作成開始するタイプの方。
こういった方々は期限の効果をすでに実感しているかと思います。
Realisticに書いた通りですが、短めの期限でなおかつ達成できそうなものがいいのです。
できた!という達成感を繰り返し感じられることでモチベーションを維持し続けられます。
目標をSTEP1,2,3に分ける理由
Specific「具体的である」, Measurable「計測可能である」, Realistic「現実的である」, Timely「期限が明確である」を確実に達成するためには、目標の細分化が必須です。
本当はさらに細分化されるべきですが、大枠としてSTEP1~3の3つに分けて考えます。
Step.1にTOEIC900点を置く理由
理由1. TOEICはSMARTの法則にそって目標設定するのに最適だから。
TOEIC900点までをさらに細分化して、例えば英語初心者の方がまず、「今年3月のTOEIC初受験で400点を取得する。」という目標を置いたとします。
これは、Specific「具体的である」, Measurable「計測可能である」, Realistic「現実的である」, Timely「期限が明確である」を満たした目標であることは明らかです。
400点をクリアーしたら500点と、一歩ずつ進んでいけるのです。このように目に見える目標を一歩ずつクリアーしていくことが英語学習を開始したばかりで挫折リスクの最も高い初心者には非常に重要なのです。
理由2. TOEICは特急への乗車券だから
どういうこと?と感じられたと思いますが、これはSMARTのうちAgreed upon「同意している」にも関わる重要な部分です。
以下を読んでいただければ、まずはTOEICを頑張るべき理由を納得されると思います。
日本社会の英語学習においてTOEICは強烈な影響力を持っています。TOEICの年間総受験者数は200万人を超え、企業における認知度は英検やTOEFLなど他の試験とは一線を画すもの。
「英検準1級はとっています」とアピールしたところで「それはTOEICでいうとどの程度のスコアですか?」と聞かれてしまいます。
TOEICで900点以上などの高得点を取得することができれば社会人として次のように多くのメリットを享受できます。
- 就職・転職活動
- 昇進
- 海外出張
- 海外赴任
- 高度英語研修(グローバル社員への教育への参加など)
私自身は1・4以外のすべてのメリットを享受しました。
3, 4, 5は仕事のチャンスとしても重要なものですが、英語力そのものをオンザジョブでさらに高めるチャンスとしても重要なものなのです。
つまりTOEIC高得点は社会人が仕事中に英語力をアップさせるチャンスへのチケット的役割があるのです。まさに英語力を劇的に高める特急列車への乗車券です。
一旦チケットを手に入れてしまえば、特急コースに乗れるため社会人としてのステータスを高めながらも、より一層本格的な英語力アップが望めます。
また、TOEIC高得点を取得することで
- 確実な英語の基礎力を身に着けられる
- 自己肯定感が高まる
という重要なメリットもあります。
まず、TOEIC高得点取得するまでの過程で非常に高い英語力が身に着きます。
英会話の勉強は別に必要ですが、それでも基礎文法は確実に身についていますので、ゆっくりとなら正しい英語を話すことも既に可能。
また、リスニングの基礎は備わっているのでフォーマルなプレゼンテーションなどは概要の理解は十分可能です。
つまり、TOEICをSTEP.1に置くことは学習の順序的な観点でも理にかなっているのです。
TOEIC900点を取れば、会社でも一目置かれます。
実際は必至の努力の結果なのですが、あの人は頭の良い人といった感覚を持たれます。
TOEIC特化学習の結果のTOEIC900点ですから、実際は思われているほど英語力が高いわけではないのです。しかし、褒められて悪い気はしないですし、半ば強制的に自己肯定感が高まっていきます。
TOEIC以外の生英語の勉強はチケットを入手してからと、思って割り切ってTOEIC900点を圧倒的速度で走り切ることが大切です。
私は18年間の実体験からこれこそが高い英語力を身に着けるのに最短の道だと思っています。
特に就職前の大学生や、社会人にとってTOEIC高得点がもたらすメリットは計り知れず、別の勉強法を選択するというのは賢い選択にはなりません。
映画の英語などTOEICには直結しない勉強法を勧める記事を見かけることがあるかもしれません。でも、それらは社会の現実を知らない非常に無責任なアドバイスと言わざるを得ません。
いかがでしょうかTOEIC900点以上をまず目指すというのはAgreed upon「同意している」に最適ではないでしょうか?
STEP.2, 3の考え方
TOEIC900点取得後は次の形に勉強法をシフトします。
- リスニング :生英語へシフト、
- スピーキング :本格開始
- リーディング、ライティング:実用英語(email) and オンザジョブ(会社で英語を使う仕事に従事した場合)
TOEIC900点取得後、生英語を使う機会を乗り越えていかなければなりません。
英語のプレゼン、英語のオンラインミーティング、海外出張、外人とのディナー等々、フォーマルからカジュアルまで種々のシーンを乗り越えられる英語力が必要になります。
そのため、学習をテキスト英語から生英語へシフトし、スピーキングも本格開始していくことになります。
実はTOEIC900点を超えた後ある程度勉強すれば、「あれ?英語で困るシーンはかなり減ってきたな。ストレスもなくなってきた。」という段階に達します。ここまでをSTEP2とします。「仕事で英語を使っています」と自信を持って言えるタイミングです。
最後まで残る課題は、生英語のリスニングです(STEP3)。Native同志のカジュアルな会話や、会議時に興奮状態にて猛スピードで話される英語など、まさに生きた英語。
内容についていけなければ、どんなにスピーキング練習を積んでいても発揮する場所さえありません。
また、映画やドラマの英語もなかなか聞き取れるようになってきません。
私自身も映画やドラマの英語の完全な聞き取りがこれ程まで遠い道のりであるとは思っていませんでした。
やはり英語学習者としては到達したい場所だと思って、今でも頑張っています。
Step.2 3はざっくりと記載してきました。実はTOEIC990点を取得した後はすでに十分な基礎力が付き、英語の学習が楽しくなってきていると思います。各自の興味に応じて自由にやってもよいとも思っています。
TOEIC高得点は特にチケットにならない場合
- TOEICで高得点を取ったところで自分の勤める会社では特に考慮されないしメリットもない。
- 海外出張なんてむしろいらない。
- また、英語の勉強はキャリアップ目的というわけでもない。
- TOEICには何の興味もないのでモチベーション維持にもならない。
- 趣味の海外旅行で困らない程度の英語力で十分。
このような方もおられるかと思います。
その場合は中学英語レベルの文法をある程度理解したのち、オンライン英会話を実施することをお勧めします。
洋画やドラマが好きで、字幕なしでセリフを理解できるようになることが夢。
という方もおられるかと思います。
この場合、戦略は全く異なります。
学ぶべき語彙にはスラングが多く含まれます。
またリスニングは生英語を題材とし、省略や連結などの法則を理解したうえで、ひたすらトレーニングをする必要があります。100%聞き取れるようになるには、相当な時間勉強しなければなりません。
ただ映画やドラマが好きだというのは継続への大きな利点ですが、「すぐに聞き取れるようにならなくて当然」と思うこと、できるだけ小さな目標を設定し達成感を途絶えさせないことに注意しながら長期間勉強を継続してください。
難しい道ですが、映画やドラマの英語を勉強しているうちにTOEICも高得点になっていたということも可能なはずです。
TOEICの勉強に疲れたら
英語の勉強で最も大切なのは継続です。
TOEICの勉強に疲れ果てた方、TOEICみたいなテストは向いていないと感じられた方は、一時的に別の勉強に移ってもよいと思います。完全にTOEICから離れることも選択肢です。
そして、オンライン英会話や、映画を使った勉強など別の方法で英語を続ければよいと思います。
TOEIC高得点には時間がかかりますが、英語の基礎力の部分はTOEICであろうと他の教材であろうと同じなので、確実に力はついていきます。
負荷の高いリスニング練習をすることで、TOEICのpart1などは簡単に感じられるはず。
とにかく続けさえすれば、英語の力はついていきます。
英語学習はマラソンのようなもの
どんなにゆっくり走っても、走り続けさえすれば確実にゴールにたどりつけるのです。
1分でも勉強すれば1分(マラソンなら1分あれば100mくらいは走れしれますよね。)ゴールに
近づいたということです。
まとめ
目標の立て方と立てるべき目標について説明してきました。
目標はSMARTの法則に沿って、3STEPで考えます。
- STEP1:まずは、TOEIC900点を目標にしましょう。ここが一番重要です。ここを頑張れば、特急チケットが手に入ります。
- STEP2 : 仕事の英語は特に問題なくこなせるレベルを目指します。
- STEP3 : 生英語完全理解の長い旅です。
STEP1~3の各ステップはそれぞれ細分化します。
例えばSTEP1はTOEIC400点目標から徐々に目標点数をあげていくようなイメージです。
STEP1の攻略がキーです。ここさえ乗り切れば、あとは特急列車。
でも、TOEICに疲れたら、一時的に別の勉強もOK。英語学習はマラソン。続けることが最重要です。
さあ、あとは実行あるのみです!!
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